白鞣し革(しろなめしがわ)というものをご存知でしょうか。
革とつくからレザーの種類ということは察して頂けると思いますが、
白鞣し。
名前の通り、白く鞣す。
鞣し(なめし)という工程は、世の中に存在する革には全て行われているもの。
それが、牛革であっても豚革であっても、エキゾチックレザーなどであっても全て。
そうしなければ、腐ってしまうからだ。
簡単に想像できると思うが、レザーはもともとは生きた動物の皮。
そのまま放置してしまうとすぐに腐敗してしまう。
だから、腐らないようにレザー製品として使い続けられるように行うものである。
更に言うと、レザーには「皮」と「革」の二種類の表記があることは分かると思う。
その二つの違いは何か。
レザーを鞣す前の状態が「皮」
鞣したものを「革」
このように表記する。
だから、小売店舗などお店に並んでいるものは、全てが「革」なのである。
この辺りはベースの知識として置いておいてもらって、、
本日ご紹介したいのは、ED ROBERT JUDSONのベータラインのみで使用される
「白鞣し革」について。
先ほどのことで、鞣すということはどのようなものなのか少しはご理解頂けたと思います。
白鞣し革は、白く鞣すというものであって、決して、鞣して白く染める革ではない。
先に言ってしまうと、鞣していくと自然に白くなるという革なのである。
そもそも、世界的に見ても革の一大産地はイタリア。
昔からイタリアに革工房などが立ち並び、生産背景などはしっかりと整っている。
当店で取り扱うCECCHI DE ROSSIもイタリアだし、レザー製品はイタリアが強い。
しかしながら、この白鞣し。
イタリア産ではない。
漢字で表記されている。白鞣し革。
made in JAPAN。
更に言うと、日本が誇る革の産地。
当店が位置する岡山県からほど近い、兵庫県姫路市である。
姫路産の革なのだ。

写真を見て頂けると独特な生成りがかった白をしているのが分かると思う。
まさに自然の白。
染めていない、ケミカルなホワイトとは異なる表情をしている。
その自然の白。
どのように鞣されているのか。
まず、原皮。
原材料ですね。
これは、海外から輸入したものですね。
一般的に、皮を鞣す場合は、ある程度の生産性の高さは必要である。
量産しなければならない。
だから、そこで使われるものがケミカル。
化学的な溶剤を使用する。
特にクロム鞣しはめっちゃケミカル。
まあ、だいたいが複合鞣しとかコンビ鞣しとか言って、タンニン鞣しとクロム鞣しの両方を行うことが多い。
それは、革が完成したときにどのような質感にするのかを目指して使い分ける。
ちなみに、豆知識的な感じで、ジーパンの革パッチとか、ベルトとかの硬い革は、フルベジタブルタンニン鞣しと言って、硬く、水にもある程度強く鞣す。
だから、めっちゃ硬いじゃないですか。
白鞣し。
これはどのように鞣すのかというと、
原皮があります。
多くの革は、聞いたこともないような化学溶剤を使用します。
これに対して、白鞣し。
使用するのは誰でもわかるもの4つ。
・塩
・菜種油
・姫路の川の水
・太陽の光
以上です。
もちろん職人の人の手は必要ですが。
あと、もっというと果てしない忍耐力ですかね。
すごく時間もかかるし、労力も。
そういったものを使用して鞣される白鞣し革。
原皮を革で洗い、塩揉みし、太陽に晒したり。
期間的には3ヶ月以上の時間を要するそうです。
すごく大変ですよね。
デザイナーの江崎さんから聞いた話ですが、かなりの忍耐力を要するので、やはり若手はいないのだそうです。
しかもね、3ヶ月以上の時間をかけて鞣すんだけど、相手は自然。
自然と対峙してつくりあげることは、困難を極めるのは分かると思います。
だから、完成したと思っても、せっかく作り上げたと思っても、腐っていて使い物にならないことさえあるのだそうです。
そして、そんな工程を経て並ぶのがED ROBERT JUDSONの財布。
この白い革を見ていると作り手の想いを感じずにはいられません。
でも、このブランド。
それを普通には使わないんですよ。
普通に使ってしまったら、ED ROBERT JUDSON、ましてや江崎さんではないですね。
今回ご紹介するのは3つのカタチ。
HALF WALLET
''FACE'' MEDIUM WALLET
''SHELL'' LONG WALLETどれもベーシックとはかけ離れた見た目。
ドイツ製のバインダーで小銭収納部分やカードケース部分が留められるHALF WALLET。
''FACE''と名付けられ、財布を開けるとすぐに顔が見えるMEDIUM WALLET。
''SHELL''というその名の通り、貝のようなラウンドジップLONG WALLET。


ドイツのKRAUSE社製のバインダーを使用して、コインケースとカードケースが取り外し可能。


バインダーで留められているので、パラパラとページをめくるように使えます。

お札は背面部分にスッと入れることができます。
超自然的な白鞣し革とキラッと光る人工的な金属パーツのコントラストがすごく効いた財布です。
HALF WALLET。

こちらが、''FACE''。
長財布ですね。
フラップを開けると顔が出てきます。
この絵は見本として一枚付属してきます。
もうお分かりだと思いますが、千円札や一万円札を入れるとちょうど顔が覗いてきます。

もちろん、前面だけではなく、ちゃんとまとめてお札を収納できるスペースも完備。
ですので、お札ではなくても、何か別のものを入れるということも良いでしょう。
ただ、ベストはお札ですね。
お金は、「払う」だけではなく、額装して、「見て、楽しむ」こともできる完全なる新しい価値観の財布。
お金との新しい付き合い方を見出す財布ではないでしょうか。
これこそまさに、心に訴えかけるものがある財布ですね。

しかしながら、小銭部分のこの開き方。
見事なまでの菱形で、非常に見やすい構造です。
考えられたこの形状。

フラップを閉じるとこのように。
白鞣し革を堪能できる、シンプルな見た目。
フラップを開けない限りは、ただの使いやすいめっちゃ良い革の財布です。
外と中のギャップがあり、二面性を感じる、ミステリアスな存在と言えるのではないでしょうか。
最後は、これ。

''SHELL''
その名の通り、貝のような形状ですね。
本来、ラウンドファスナー式の財布といえば、ファスナーの務歯(ムシ)部分が露出して見えるものだと思います。
こちらは、

ご覧のように務歯を隠した仕様。
これはすごく高い技術を必要とするもの。
見たことないじゃないですか。
こうなってるのって。
しかも、実物を見たらわかるんですが、務歯を隠している部分の革は裏側にまで、表革が配置されています。
めくってよく見てみないと分からない仕様なのですが、これは狭い部分に革を張り合わせた技術。
厳密に言うと、
白鞣し革+芯+白鞣し革ですね。
これに関しては文面で伝えるのは難しいので、口頭でお願いします。
ただ、務歯が見えてないとこんなにも印象が大きく変わるのかってくらい全然違う。
圧倒的な存在感が出ますね。
まあ、ファスナーは隠す必要のないくらい良いジップ使ってるんですけどね。
riri社製のものです。

そして、肝心の中身はこの仕様。
コイン部分は先ほどの''FACE''と同じですね。
こちらに関しては、より高い収納力を備えています。

カードの収納枚数も充分な数。
この3種類は、それぞれに強い個性を持っているので、スタイルに合わせてお好みで選んで頂ければ嬉しいですね。
あと、
白鞣しということで、色が白なので、汚れが心配という方もいるかもしれません。
これに関しては、はっきり言って黒とか濃い色の革よりも汚れが目立ちます。
でも、ベッタベタに汚れがつくということでもないですけどね。
なので、僕が使っているカードケースと財布をご覧ください。
どちらももう2年くらいにはなりますかね。
超お気に入り。



カードケースと財布では使用頻度が違うので、変化も変わってきますね。
普通の革って、ツヤが出るじゃないですか。
もちろんこの革もツヤが出ることは出るのですが、強く出るわけではありません。
渋くなるっていうと一番わかりやすいかもしれませんね。
あと、そんなに汚れも気にならないと思います。
特に意識して綺麗に使っているわけではないんですが、全体的に渋みが出たっていうか、風格が増したと思います。
ちなみに、僕が使っている財布は、HALF WALLETの前身です。


やはりこの革じゃなきゃ味わえない独特な変化をする質感は、他に変えようがないですね。
それと、この革、付き合い方も独特です。
付き合い方というのは、メンテナンス方法ですね。
一般的な革はクリーム塗って、保湿してあげるじゃないですか。
これはその必要がありません。
僕も2年使って、一回もクリームとかオイルとか入れたことないですからね。
では、どうするか。
汚れが気になる場合は、布を水で濡らし、硬く絞り、表面を拭きます。
そうすると、表面についていた汚れはとれる。
そして、そのあと。
太陽の下で干す。
干すというか日光に当てる。
そうすると、また徐々に白さが増していくのです。
そして、使う。使い続ける。
そうすることによって、オンリーワンに仕上がることでしょう。
この革は、生産時期によって、また一点一点によって、色合いや質感が微妙に異なります。
そういった偶然の出会いのようなものも一つの楽しみです。
自然の力でつくられる、予測不可能な革の表情。
それさえも楽しいと思える方に、是非手に取って頂きたいと思います。
それでは。
CASANOVA & Co.
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