このブログでも久しぶりにNEATのことを。
このブログを読んでくれている人はほとんどの人がNEATのことは分かってくれていると思う。
当店ではシャツのみをつくるブランドやコートのみをつくるブランドなどはあるのだが、パンツはNEATだけ。
NEATのパンツを穿いたときのシルエットのことやフロントの2タックパターンのインタックにより、タックインをしてもアウトしても穿いてスタイリングが一気に出来上がるのはコモンセンス。
でも、いくつかのパンツの種類があるのに、それが全てNEATしているところ。
パンツ専業ではあるから、パンツのみではあるんだけど、
その全てがNEATなんですよ。
展示会でフルラインナップを見ていると、いろんな生地バリエーションがある。
ストライクゾーンの広いものから、超絶ド変態生地のものまで。
でも、全てが素晴らしい完成度。
例えば、ダークトーンのパンツを穿くと上品で洗練された印象になる。
だから、少し畏まった場に出向くときや、服装のまとまりを出したいときは重宝すると思う。
はたまた、今シーズンでも登場しているようなパッとカラーリングが目に入ったり、柄使いが特徴的なパンツ。
そういったものを身に付けたときは、急にスタイリングの強さが出るだろうし、一気にクセ者にも見える。
その対極に位置するような生地を一つのブランド、しかもパンツのみで完結させている、というか、それがブランドの独りよがりではなく、そのどれもが成立する。
そんなブランドはなかなかないね。
それでいて、そこに付随するシルエットの力強さ。
どのモデルでもスタイリングに落とし込むことができるのに、しっかりと主張する。
あとは、仕様の面や縫製での側面も。
そこは少し専門的になってくるんですが、縫製仕様で考えると天才。
それは製作する上での考え方になってくるのですが、すごく考えられていると思う。
それはブランドをやっていく上で、かなり大事なところになってくる。
とまあ、考えるといろいろと出てくるブランドではあるのですが、今回はNEATの中でもよりご覧頂きたいものを。
FOX BROTHERS WOOL KERSEY
model _ WIDE
color _ NAVY
size _ 44
price _ ¥70,000-(+tax)そう。
七万円のパンツである。
ちょっと2019AWシーズンのNEATのコレクションでも頭が抜けてるパンツ。
使用する生地はイギリスFOX BROTHERSのもの。
すごく長く生地をつくり続けるFOX BROTHERS。
この会社が得意なのはウール。
イギリスは、サヴィルロウとかあるから紳士服テーラーに長きに渡って提供をしているところですね。
やはりイギリスは良い生地つくるんですよ。
ノウハウもあるし、しかもこう200年くらい生地をつくり続けてるということは、残るだけの理由がある。
ウール織物となると、FOX BROTHERSは薄地のライトウェイトのものから、サマーウール、フランネル、ヘビーウェイトのものまでつくり、もちろん、ウールの糸に関しても紡毛から梳毛までやってる。
つまりは、いろんな上物ウール織物をつくってる。
それでね、このウールカルゼ、何故七万円するのかというと、
圧倒的な超上質ウール生地。
改めてNEATの西野さんに聞いてみたんだけど、今シーズンのFOX BROTHERS社でナンバーワンの生地。
それを使ってる。
NEATのコレクション展開で言えば、近しい時期のデリバリーでレザーパンツがあるんですよ。
価格は近しいし、それも迷った。
しかもカラーもキャメルだったかな。
なかなかの色合いだったんですよ。
多分、インスタグラムで見てみたら出てくると思うから、もう知ってる人もいると思う。
正直ね、正直、
レザーパンツのほうが需要があるなって思ったんですよ。
このウールカルゼとレザーのものどちらも取り扱うことも考えたんですが、
セレクトショップという性質上、やはりセレクトすることは絶対的に必要。
そして、選んだのがこのFOX BROTHERSのウールのこれ。
世の中にはウールのパンツっていくらでもあると思う。
それこそ、サマーウール系のスラックスから、柄使いのユニークなものもあるし、秋冬に適した温かみのあるものまで幅広い。
でも、見た瞬間に思ったんです。
このウールのパンツはない。と。
シンプルに。
そして、それを取り扱いたかった。
レザーパンツ需要を差し置いてでも。

100年穿けるウールパンツ。
これがこのパンツを最もよく表しているんじゃないかな。
見るからに他に類を見ないほどの自然の光沢。
上質ウールならではの織り組織の美しさ。
そして、圧倒的な重厚感。
100年穿けると言った理由の最大の要因はその耐久性の高さだと思う。
例えば、ヴィンテージやアンティークのコートって現存しているじゃないですか。
そのほとんどはヨーロッパでつくられた良質ウールからつくられたもの。
反対に化学繊維100%のアンティークの洋服って見たことないでしょ。
まあ、実際には化学繊維はその歴史自体が130年くらいなので、ないのは当たり前だけど。
実際に、原毛の品質が高く、丁寧に梳毛され、時間をかけて製織されたウールは非常に長持ちする。
そして、見るからに上質生地であるということが分かる。
それは、天然繊維だからこそ。

今回紹介している、このウール地は名前こそウールカルゼだが、キャバルリーツイルという織目が立ったもの。
キャバルリーツイルは、スーツとか好きな方は目にすることがある組織だと思うが、綾目がはっきりとした、イギリスを代表するものの一つ。
そして、そのキャバルリーツイルのギッチギチに高密度に織り上げている。
でもね、ここから。
何故、このパンツなのか。
5PLY
そう。
分かる人には一発で分かると思う。
このパンツの全てが。
いわゆる、5本撚りなのである。
このブログでも単糸や双糸、三子撚りなど様々言ってきたことはあったが、
五子は初めて。
改めてだが、
洋服には生地が大半の面積を占める。
その生地は糸で構成されている。
その糸には種類があるのだが、
単糸(たんし):一本の糸
双糸(そうし):一本の糸を二本ねじって組み合わせたもの
三子(みこ、みっこ):一本の糸を三本ねじって組み合わせたもの
などとなる。
大体これまでは紹介してきたものは双糸くらいまでが多かったかな。
どのような生地の質感を出したいのかにもよるけど、一般的に単糸に比べて双糸のほうが確か3倍くらい丈夫になったと思う。
糸が増えれば増えるほど、耐久性が増す。
でも、それができないのだ。
理由はいろいろある。
それを考えた上で、このウール、
五本撚り
五子(ごこ、ごっこ):五本の糸をねじって一本の糸にしたもの
えげつないくらいの耐久性があるのは想像に容易い。
ただし、滅多にお目にかかれるものではない。
それが最初に言った、今シーズンのFOX BROTHERS社でNo.1という理由。
めちゃめちゃ細い原毛を使用して、それを梳毛。
梳毛(そもう)というのは繊維一本一本を櫛で梳かすように引き揃えたものを糸にすること。
梳毛することで、もう一つある紡毛(ぼうもう)と比べて、毛羽立ちが抑えられ、光沢が出るし、落ち感なども出る。
冬に着るセーターは紡毛と思ってくれたら良い。
それで、解説ばかりが長くなってしまったんだけど、
この生地は、選りすぐりの原毛を梳毛し、それを5本用意し、それを一本の糸にしている。
それによって、異常なまでの耐久性を誇る生地となっている。
そして、原毛の良さから、しなやかさと明らかなる上質な光沢を持っているのだ。
穿かずしても分かるただならぬ高級感。
拭いきれない上質さ。
プライスがプライスだけど、手にしたからには気に入って穿いて、30年。
その後は、自分の息子に。
息子が30年。
息子が孫に。
親子代々受け継ぐことができる代物である。
これこそまさに最もクラシックな洋服との付き合い方じゃないでしょうか。

形はワイドで、サイズは44の一点のみ。
この生地の良さを最も体感できる、ワイドシルエット。



最初は、この生地の重厚感に圧倒されてしまう人もいると思う。
それはそう。
長く付き合っていくものだから。
きちっとレングスを合わせて穿く。
とにかく穿く。
生地自体の強さがハンパないから、消耗なんて気にしないで。
どれだけ良いコートに合わせても負けずに特別な雰囲気を演出してくれると思いますよ。
オンラインショップにも既に掲載済み。
猛者を待ってます。
CASANOVA & Co.
TEL:086-243-5607
MAIL:casanova.co.3129@gmail.com
ADDRESS:岡山県岡山市北区野田3-1-29
NEAT WOOL KERSEY オンラインショップページ
https://www.casanova-co.com/product-page/neat-fox-brothers-wool-kersey-wide-navy
スポンサーサイト