こんばんは。
今シーズンより取り扱いをスタートしたブランド「山内」。
ファーストシーズンでは、シャツやカットソー、パンツ、ブルゾンなどを展開してました。
「洋服づくりの本質」を貫いているブランドなので、洋服がお好きな方にはとても好評を頂き、全て完売しておりました。
そんな「山内」ではありますが、今シーズンのラストデリバリーが到着。
ラストにして大物。
デザイナーの山内さんが2017AWはこの洋服からコレクションをスタートさせたというもの。
今シーズンの目玉でもあります。
スペシャルアイテムです。
このコート。
ライナー付きミリタリーコート
color/olive
size/3
price/\160,000-※完売致しました
山内が提案するミリタリーコート
コレクションではoliveの他にもblackがあったのですが、ミリタリーということでよりミリタリーらしさが伝わるのはコチラかなということでoliveをセレクト。
そして、ライナー付きというこのコート。
簡単に言うと、そのライナーはライナーではないレベル。
つまりは、2着で1着が構成されたコートということになります。
では、その素晴らしいディテールの数々を見ていきましょう。
普通の洋服では満足できない変態さん、
心してご覧ください。

首がスタンドカラーになったコート
そして、下からライナーのフードが覗くデザインとなっています。

表地はコットン100%
とても高密度な生地で凹凸が出ている深い表情の生地。
デザイナーの山内さんが目指したのは、「男の洋服」ならではの「乾いた質感」だそう。
繊細さが感じられますが、どこか男らしさや力強さが感じられる生地に仕上がっています。
もちろん、山内さんが機屋の職人さんとつくりあげたオリジナルファブリックとなります。

このコートで僕が注目して頂きたいディテールは山ほどあります。
それは見れば見る程に、美しい仕上がりのコートだからです。
その一つがここ。
両脇につけられたマチ付ポケット。
見てくださいこの綺麗なカーブ。
そして、寸分の狂いのない細かなステッチ
アップでも

ほら。
アウターとは思えません。
アウターでこんなに細かなステッチでカーブを描いているのを見たことがありますでしょうか?
僕は、ありません。
これだけ高密度な生地をこのクオリティで縫うのは本当に職人技です。

そして更には袖口。
(写真が明るく写り過ぎてしまいました。これだけ。)
袖口は生地が複数重なる部分でもあります。
それにこの美しいステッチ。
更には袖口のストラップも。
袖口のストラップって一般的には、直線的なデザインのものが大半だと思います。
緩やかに滑らかに綺麗にカーブし、それに沿うステッチ。
オーダーする際に山内さんにサンプルを見させて頂きました。
僕自身はこの袖口のストラップの美しさに度肝を抜いたのを覚えています。

そして、このコートは両胸に特徴的なカタチをしたファスナー付きポケットが装備されています。
ミリタリーコートってポケットの数多いですよね。
出先で鞄を持たない男性には良いのではないでしょうか。
ファスナーの部分は両玉縁仕様(りょうたまぶち)で覆われています。
この覆われたファスナーはYKKの最高級、エクセラです。
滑りも良く、耐久性が非常に高い、美しいファスナー。
このライナー付きのコート。
表はもの凄く丁寧な美しい仕立てですが、裏側がどうなってるのか気になりますよね?

恒例の内側チェック。
このコートがどれだけの時間がかけられて、どれだけ手間を惜しまずにつくられたのか、この内側を見ただけで想像できます。
コートのフロントの開閉は、ファスナーとボタン。
そして内側の黒い部分気になりますよね?

これは、キャメル90%・ウール10%のメルトン
「山内」のブログで山内さんも紹介されていますが、日本ではもうキャメル・ウールのメルトンはつくられていません。
そして、キャメルをブラックに染色する技術は相当難しいそうで、日本でも一つの染工場でしかできなかったそうです。
しかも、その染工場も既に廃業されてしまったそうで、もう日本でキャメルのブラックメルトンはつくることができないそう。
今回はその生地のデッドストックを発見されたそうです。
ライナーの内側でさえも上質な素材を使って、天然素材の本当の暖かみを感じることのできるキャメルメルトンです。

このコートとライナー
内側に付属するボタンで取り外しができるようになっています。
取り外すと・・・


ライナーはこのようなものになっています。
この見た目、ライナーではないですよね。
フードブルゾン。
そして、山内の洋服の魅力を知ってしまった方にはお気づきの方もいるかもしれません。
袖口。
そうです。

山内リブ。
ご存知ない方の為に。
アップで。

リブの溝、一つ一つに走るステッチの数々
山内では普通のリブは使用しません。
本来は付属品である「リブ」さえもつくり込みます。
リブの上から、表地に合う生地を当て、リブの溝に一針ずつ針を進める。
途方もない作業です。
それが、「山内リブ」です。
リブ一つとっても丁寧に仕上げるのは、繊細な手仕事を行う、本来の日本の手仕事ならではだと思います。

これだけでも街に着ていきたいと思わせる洋服です。
ライナーとして活躍するときがあっても良いけど、ときにはこれをアウターとして着てみるのも良いのではないでしょうか。
ちなみにこのコートとライナーにはたくさんのボタンが取り付けられています。

こちらのボタンは全て水牛ボタン
一つ一つ全く顔が違います。
そして、全てが手付け。
大量生産される洋服の多くは、機械でボタンを取り付けます。
そうするとすぐに取れてしまいます。
手付けのボタンは、留めやすく、しかもすぐに糸がほつれて取れてしまうようなことがありません。

こんなボタンや

こんなボタン。
一つ一つ見比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
そして、山内の洋服には全て「縫製者タグ」というタグが取り付けられています。
このライナーは・・・・

完全に僕の手が写ってしまってますが、、、
田村 優季さん。
洋服の世界って誰がつくったのかということが、わかりにくい匿名性の高いものだと思います。
しかしながら、素晴らしい技術を持って丁寧に洋服をつくられている方の名前は、世の中に知られるべきだと僕は思います。
野菜だって生産者の顔が見えるじゃないですか。
洋服の世界だってそれが一つの魅力にも繋がるはずです。

次は、コート。
この襟元もとても綺麗ですよね。

独特な乾いたような質感。
とても雰囲気のある生地に仕上がっています。
長年着込んでいくのが本当に楽しみです。
3年後にこの生地がどのような変化をするのか、想像するだけでもとてもワクワクします。

ラグランスリーブになった肩の縫い合わせ部分もこの硬さのある生地だからこそ、豊かなパッカリングが生まれ、数年後にはきっといい表情をしているはずです。

ウエストにはドローコードが入っています。
ギュッと強めに縛っても集まった生地がギャザーとなり良いムードを演出してくれるでしょう。

センターベントの仕様です。
そして、このコート。
本当に美しい縫製ですが、実は「返し縫い」がされていません。
通常縫製は、縫い始めと縫い終わりに解れないように返し縫いを行います。
しかし、このコートは一切返し縫いをしている箇所が見当たらないのです。
では、どうしているのか。
縫い始めと縫い終わりに「糸抜き」という高度な技をしているのです。
「糸抜き」とは、返し縫いをする代わりに、裏から糸を手で引っ張り、解れないように手作業で結び付けていくという気の遠くなるような仕様となります。
見えているステッチだけを美しく。
ではないのです。
見えない部分さえも美しく細かな手仕事でつくりあげる。
そんな洋服ってとても魅力を感じますよね。
そうやって仕立てられたコートですが、実はライナーとは縫製された方が異なります。

デザイナーである、山内さんご自身です。
また、僕の手が入っているのは完全に無視してもらって、
デザイナーさん自ら製作されたコートとなります。
寒い時期はライナーとコートを一体にして、
動くことの多い日はライナーをフードブルゾンとして、
少し暖かくなれば、コートをバサッと羽織って、
そんな長い付き合いができるコートです。
細かなところまで手が行き届き、繊細な手仕事が施された「山内」の今シーズンのメインアウター
ライナー付きミリタリーコート
このBLOGのタイトルにもあるように「洋服」ではありますが、「作品」のような仕上がりです。
是非、袖を通して頂きたいコートになっています。
価値のある洋服がお好きな方、
そして、マニアックディテールが大好きな方、
是非、店頭でお話をさせてください。
そして、こういった洋服の素晴らしさを共感させて頂けたらとても嬉しく思います。
それでは、週末もお待ちしております。
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