これまで数シーズンに渡って取り扱いをしてきたAPPLETREES。
スウェーデンのシャツ専業ブランドでありながらも、イタリアのシャツ工場で仕上げられるからメイドインイタリー。
スウェーデンらしい空気を感じながらもイタリーメイドだけあり、いかにもなドレスディテールは健在。
「滑らかで上質な生地を使い、細かい運針で仕立てられたドレスシャツ。」
というのは、ドレスシャツを探そうと思ったら溢れる程見つけられると思う。
日本でも世界でもやはり良いものをつくろうと思うと、そういうことをできる人はいるから、必然的に同じくらい高いクオリティのものはつくろうと思えばやれちゃう時代。
もちろん、それを得るためにコストはかかるけど。
だいたい同じくらいの値段で同じくらいのクオリティのものは多いし、圧倒的な違いがあるものは別として、だいたいのものが同じようなフィールドに立たざるを得ないと思う。
お客さんの視点で考えれば、同じものでもどこのお店で買うか、更には誰から買うかということが、洋服を買うという行為の一つの重要な選択肢なんだろうと思います。
お店の立場で考えるとお客さんに選んでもらえるようなお店であり続ける必要があるし、それが継続していく為に最も必要なこと。
逆に店側が商品を選ぶ時は、一般のお客さん同様に買い物をするわけ。
それは実際に店頭に並べる一年前か半年前に行う買い物行為、イコール、バイイングなわけであるんですけど、いろんなことを考えながらやるんですよ。
ちゃんとね。
道楽であって、道楽ではない。
趣味であって、ただの趣味でやってることじゃない。
ただ、仕事かと言われるとそうでもない。
まあ、選ぶ基準は自分の中でいろいろな側面があるわけです。
で、まあ、ぶっ飛ばしたブランドを取り扱うときは、単純。
それが取り扱いたいか、取り扱いたくないか。
売れるか、売れないか、なんて考えないこともないけど、そんなの分からないから。
それで、僕の中で取り扱いたいかどうかということは、そこに強いオリジナリティーを感じるかどうか。
今日は、APPLETREESのシャツについて書いてるので、そういうことですね。
以前にもブログに書いていることもあるし、店頭でもご来店頂く方にお話をさせて頂いたこともあるので、細かな仕様については割愛。

APPLETREES
ALL OVER THE WORLD
color _ WHITE.EXCLUSIVE GREEN
size _ XS.S
price _ ¥60,000- (without tax)
このシャツを全ての人へ。というテーマのもとつくられたALL OVER THE WORLD。
隠しボタンダウンでフロント4つボタンのプルオーバーシャツです。
着丈が長く、身幅も大きくとられているALL OVER THE WORLD。
プルオーバーで着丈が長い分、かなり独特の雰囲気が出る。
ブランドのテーマとしては、全ての人へ。とか言ってるものだけど、全ての人には当てはまりません。
やっぱり、独特だから。
上半身を大きく覆い隠してしまうようなシャツだし、そもそもプライスがプライスな分、かなりの高い位置にあるハードル。
ただ、ハマる人が着てしまえばあとは何も考えなくて良いんじゃないかというくらい見た目はサマになるんですよ。




着てしまえばサマになるというのが、このシャツが構成されてるものに起因する。
素材は、エジプトのギザコットン。
それを120番手(ばんて)の糸として、二本撚り(より)の糸にした双糸(そうし)。
その120番手双糸の糸を超超高密度にギッチギチに織り上げたポプリン。
まあ、良いのか悪いのか、コットン100%とは思えませんね。
まるでナイロンかのようにツルッツル。
洗濯した時も水が中に入り込まないというか、生地の表面を滑る。
それくらいの生地。
でもね、僕が伝えたいのはそこじゃないんですよ。
さっきからオリジナリティーとか言ってたじゃないですか。
オリジナルなものをつくろうと意図的に思っても、なかなか難しいし、やはりその人の経歴とかやってきたことっていうのが絶対に影響してくると思うんですよ。
やりたいことと、やってきたこと、更にはビジネス的に迎合しない振り切った考え。
それで結果的にオリジナリティーに溢れちゃうものができるんじゃないかな。
このデザイナーで言うと、シャツづくりに特化してきた人物ではなく、リーヴァイス。
あのジーパンの。
ワークウェアに精通してるというか、そこでキャリアを積んできた。
そこで染みついたワークウェアのマインドというか、「血」がAPPLETREESのシャツを別次元のものへと導いてる。
写真では分かりにくいと思うのですが、ステッチですよ。
ドレスシャツではまずありえない、太い縫い糸。
太すぎるんじゃないかっていう糸で、全然細かくないステッチワーク。
良いシャツの基準として、3cm間にどれくらいの運針数があるかとかって言うじゃないですか。
3cmで24針とかだったらすごく良いですね。細かくて。
対して、ALL OVER THE WORLD。
3cm間に12針ですね。
半分。
もの凄く大胆なステッチワーク。
完全にワークウェアの考え方なんですよ。
そもそもねそんな運針数なんですけど、その縫い糸が異常。
一般的にはポリエステルが縫い糸として使われることが常識。
もちろんその中にもいろんな種類はあるんですが、
APPLETREESはシルク。
つまり、シルクの極太の糸での大胆なステッチワークということになる。
切れにくく、耐久性が抜群。
しかもブランドで推奨しているのは家庭での洗濯。
これは期待できるでしょう。
生地の素材が良いし、大きなシルエットで風も入ってくるし、これから迎える夏でも腕を捲くりさえすれば、夏場でも涼しく着られる。
そして、着丈の長さを活かして、秋冬にはインナーとして着ると重ね着でのスタイリングも楽しめる。
それでいて類まれな経年での変化。
これがこのシャツの一番面白いところ。







どちらも私物。
枯れてきた。
でも、抜け切らない上質さ。
もう何回洗ったかわかりませんね。
グリーンのほうが一年早く着てると思うから、150回とか200回とかは洗ってると思います。
ウルトラヘビーユースしていたので。
白は100回くらいはいってると思います。洗濯回数。
洗うことによってシルクの縫製糸が縮み、発生する夥しい数のパッカリング。
見た目はすごく強くなるし、こういった変化は独特です。
それでいて、体に徐々に馴染み、最初はハリの強い生地も滑らかさは変わらぬまま、柔らかく変化する。
こういうの好きな人へ。
それでは。
CASANOVA & Co.
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